石畳の坂道を登っていくと、谷を抜ける風が頬を撫でていく。眼下には中世の城壁が渓谷に沿って伸び、その向こうには近代的なガラスのビル群が朝日を反射してキラキラと輝いている。ここはルクセンブルク、世界で唯一の「大公国」であり、わずか東京23区ほどの面積に、驚くべき歴史と文化と豊かさが凝縮された国。古城とEU機関が共存し、フランス語とドイツ語とルクセンブルク語が飛び交い、ミシュラン星付きレストランが人口比で世界最多を誇る。小さいからこそ、全てが徒歩圏内で体験できる奇跡のような場所。さあ、ヨーロッパで最も過小評価されている宝石を見つけに行こう。
ルクセンブルクってどんな国?
ルクセンブルクは、ベルギー、フランス、ドイツに囲まれた西ヨーロッパの小国。面積はわずか2,586km²(神奈川県より少し大きい程度)、人口約65万人という小ささながら、一人当たりGDPは世界トップクラスを誇り、EUの主要機関が置かれる「ヨーロッパの心臓」として機能しています。
首都ルクセンブルク市は、旧市街と渓谷が織りなす独特の景観が評価され、1994年にユネスコ世界遺産に登録されました。中世の要塞都市としての面影を色濃く残しながら、同時に最先端の金融センターとしても発展している、まさに「古きと新しき」が見事に融合した都市です。
公用語はルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語の3つ。街中では英語も広く通じるため、言語の心配はほとんどありません。通貨はユーロ、治安は極めて良好で、ヨーロッパ初心者にも優しい旅先と言えるでしょう。
ルクセンブルク旅行の予算|3つのスタイル別費用
ルクセンブルクは西ヨーロッパの中でも物価が高めの国ですが、工夫次第でコストを抑えることも可能です。ここでは3泊4日を想定した予算を、バックパッカー、スタンダード、ラグジュアリーの3つのスタイル別に紹介します。
バックパッカー
¥80,000〜
- 航空券:¥50,000(経由便・LCC利用)
- 宿泊:¥4,000/泊(ホステルドミトリー)
- 食事:¥2,500/日(スーパー・ベーカリー中心)
- 交通:無料(徒歩中心・公共交通は国内全て無料)
- 観光:¥1,500/日(無料スポット中心)
ルクセンブルクは公共交通が完全無料なので、移動費を大幅に節約できます。
スタンダード
¥180,000〜
- 航空券:¥100,000(エコノミー・経由便)
- 宿泊:¥12,000/泊(3つ星ホテル)
- 食事:¥6,000/日(カフェ・中級レストラン)
- 交通:無料(公共交通利用)
- 観光:¥3,000/日(美術館・城などの入場料込み)
快適さと価格のバランスが取れたプラン。中心部のホテルで観光も効率的。
ラグジュアリー
¥400,000〜
- 航空券:¥250,000(ビジネスクラス)
- 宿泊:¥30,000/泊(5つ星ホテル・歴史的建築)
- 食事:¥15,000/日(ミシュラン星付き含む)
- 交通:¥5,000/日(プライベートガイド・タクシー)
- 観光:¥8,000/日(プライベートツアー・特別体験)
ミシュラン星付きレストランでの食事、古城ホテルでの宿泊など、最上級の体験。
節約のコツ
- 公共交通完全無料を最大活用(バス・トラム・鉄道すべて無料)
- スーパーマーケット「Cactus」「Delhaize」で食材調達
- ベーカリーでサンドイッチとコーヒーのランチ(€5程度)
- 美術館・博物館の多くが無料または低価格(€5以下)
- 毎週土曜の朝市(Place Guillaume II)で地元グルメを試す
- Luxembourg Cardで観光施設が乗り放題(1日€13〜)
絶対に外せない観光スポット
ルクセンブルク市旧市街(世界遺産)
ルクセンブルク観光の中心であり、ユネスコ世界遺産に登録された旧市街。アルゼット川とペトリュス川が削り出した深い渓谷に沿って発展した独特の地形が特徴で、高低差100メートル以上の断崖絶壁の上に中世の要塞都市が広がっています。
旧市街の中心、憲法広場(Place de la Constitution)からは、ペトリュス渓谷を見下ろす絶景が広がります。金色に輝く「黄金の女性像(Gëlle Fra)」がそびえ立ち、眼下にはアドルフ橋の優美なアーチと緑豊かな渓谷、そして対岸のグルント地区の可愛らしい家々が見渡せます。特に夕暮れ時、オレンジ色に染まる空と石造りの建物のシルエットは息を呑む美しさです。
旧市街のメインストリート、グラン・リュ(Grand Rue)には、パステルカラーの美しいファサードが並び、高級ブティック、チョコレート専門店、カフェが軒を連ねます。石畳の路地を歩けば、中世にタイムスリップしたかのような雰囲気。特に、王宮(Grand Ducal Palace)の前で行われる衛兵交代式(夏季のみ)は見逃せません。
アクセス:ルクセンブルク中央駅から徒歩15分、またはバス9番でPlace d’Armes下車すぐ
所要時間:2〜3時間(じっくり散策なら半日)
入場料:無料(屋外散策)
ボックの砲台(Casemates du Bock)
ルクセンブルク観光のハイライトとして絶対に外せないのが、この地下要塞。17世紀にスペイン軍によって岩盤を削って造られた全長23kmにも及ぶ地下通路で、かつては兵士たちの避難所、武器庫、厩舎として機能していました。
入口から階段を下りていくと、ひんやりとした空気が肌を撫で、目が慣れてくると薄暗い石の通路が続いているのが見えてきます。所々に設けられた銃眼から外の光が差し込み、渓谷の緑や対岸の建物が額縁のように切り取られて見える瞬間は、まさに絵画のよう。
通路を進むと、突然視界が開けて巨大な空間に出ます。ここは馬を収容していた場所で、天井の高さと石の壁の質感に圧倒されます。さらに奥へ進むと、複数の階層に分かれた通路が迷路のように続き、まるで中世の冒険映画の世界に迷い込んだかのような興奮を感じるはずです。
開館時間:3月〜10月 10:00-17:00(冬季は閉鎖)
入場料:€8(学生€6)
所要時間:45分〜1時間
注意:階段の上り下りが多いため、歩きやすい靴推奨。内部は涼しいので羽織るものがあると良い
アドルフ橋(Pont Adolphe)
ルクセンブルクを象徴する建造物の一つで、1903年に完成した石造りのアーチ橋。高さ42メートル、長さ153メートルのこの橋は、完成当時は世界最大の石造アーチ橋でした。
橋の上から見下ろすペトリュス渓谷の景色は圧巻。深い谷底には緑豊かな公園が広がり、小川が静かに流れています。対岸には旧市街の建物群が重なり合い、まるで箱庭のような美しさ。朝の柔らかい光の中で見るのも良いですが、夜にライトアップされた姿も幻想的です。
橋自体を散歩するのも楽しいですが、憲法広場やシャルロット大橋から眺めるアドルフ橋の全景も見事。特に秋の紅葉シーズンには、渓谷の木々が色づき、石造りの橋とのコントラストが美しい写真スポットになります。
アクセス:旧市街中心部から徒歩5分、中央駅から徒歩10分
入場料:無料
ベストタイム:夕暮れ時(18:00-19:30頃)が特に美しい
グルント地区(Grund)
渓谷の底に広がる古い街並みで、かつては職人や労働者階級が住んでいた地区。旧市街から見下ろすだけでなく、実際に降りて歩いてみると、その魅力が倍増します。
グルント地区へは、エレベーター(Pfaffenthal Lift)を使うか、石段を下りるルートがあります。エレベーターは無料で、ガラス張りの近代的なデザイン。上昇・下降しながら渓谷の景色を楽しめる、それ自体がアトラクションのような体験です。
地区に到着すると、狭い石畳の路地にパステルカラーの可愛らしい家々が並び、アルゼット川沿いには柳の木が揺れています。かつての修道院(Neumünster Abbey)は現在文化センターとして生まれ変わり、カフェやギャラリーが入居。中庭では定期的にコンサートやマーケットが開かれ、地元の人々の憩いの場になっています。
川沿いの遊歩道を散歩すると、水車小屋の跡や古い橋が残り、中世の面影を感じられます。夜になるとレストランやバーの明かりが川面に映り、ロマンチックな雰囲気に。週末の夜は地元の若者や観光客で賑わい、活気ある雰囲気を楽しめます。
アクセス:Pfaffenthal Liftで旧市街から3分、または徒歩15分(階段)
おすすめ時間帯:午後〜夕方(カフェでのんびり)、または夜(バー巡り)
所要時間:1〜2時間
ルクセンブルク国立歴史美術博物館(MNHA)
旧市街の中心部、Marché-aux-Poissonsに位置する国立の歴史美術博物館。古い邸宅を改装した建物自体が歴史的価値を持ち、内部は近代的な展示空間と歴史的建築が見事に融合しています。
展示は先史時代からローマ時代、中世、近代まで、ルクセンブルクの歴史を包括的にカバー。特に注目すべきは、古代ローマ時代の遺物コレクション。モザイク、彫刻、日用品などが精巧に展示され、この地がローマ帝国の重要な拠点だったことを実感できます。
中世セクションでは、ルクセンブルク公国の誕生と発展の歴史を、武器、甲冑、宗教美術品を通じて学べます。近代セクションでは、第二次世界大戦中のナチス占領期の展示もあり、小国ながら激動の歴史を歩んできたことが分かります。
美術コレクションも充実しており、ルクセンブルク出身の画家ジョゼフ・コッテルの作品群、19世紀の風景画、現代アートまで幅広く展示。特に、ルクセンブルクの風景を描いた絵画は、今も変わらぬ景色との比較が面白いです。
開館時間:火〜日 10:00-18:00(木曜は20:00まで)、月曜休館
入場料:常設展無料、特別展€7
所要時間:1.5〜2時間
おすすめ:木曜夜の延長開館時、館内カフェで一息つくのも良い
ノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame)
17世紀に建てられたゴシック様式の大聖堂で、ルクセンブルクのカトリックの中心。後期ゴシック、ルネサンス、バロックの要素が混在した独特のデザインが特徴です。
外観は控えめながら、内部に入ると一転して華やかな装飾に目を奪われます。高い天井を支える優美な柱、色鮮やかなステンドグラス、精巧な彫刻が施された祭壇。特に、聖母マリアの像「Consolatrix Afflictorum(悩める者の慰め手)」は、ルクセンブルクの守護聖人として崇敬され、毎年5月には大規模な巡礼行事が行われます。
地下には歴代のルクセンブルク大公の墓所があり、静謐な雰囲気の中で王家の歴史に思いを馳せることができます。また、パイプオルガンの音色も素晴らしく、運が良ければミサやコンサートで生演奏を聴くことができます。
開館時間:月〜土 10:00-12:00、14:00-17:30、日 14:00-17:00(ミサ中は見学不可)
入場料:無料(寄付歓迎)
所要時間:30分〜1時間
注意:宗教施設のため、肌の露出が多い服装は避ける。静かに見学を
ヴィアンデン城(Vianden Castle)
ルクセンブルク市から北へ約50kmの小さな町ヴィアンデンにそびえる中世の古城。11世紀から14世紀にかけて建てられたこの城は、ヨーロッパで最も美しく保存状態の良い封建時代の城の一つとされています。
丘の上に建つ城は、遠くからでもその威容が目に入ります。アルデンヌの森に囲まれ、眼下にはオール川が流れ、対岸の緑豊かな山々とのコントラストが絵画のよう。特に秋の紅葉シーズンは、赤や黄色に染まった森と石造りの城が織りなす景色が息を呑む美しさです。
城内は見事に修復されており、当時の生活を再現した展示が各部屋に配置されています。大広間の豪華なタペストリー、騎士の間の甲冑コレクション、礼拝堂のステンドグラス、そして城壁からの360度のパノラマビュー。特に塔の最上階から見る景色は圧巻で、ヴィアンデンの町全体と周囲の自然が一望できます。
城への道のりも楽しみの一つ。町からはケーブルカーで登ることもでき、空中から見下ろす町と川の景色も素晴らしいです。また、徒歩で登る場合も、石畳の小道を歩きながら中世の雰囲気を満喫できます。
アクセス:ルクセンブルク中央駅からバス570番で約1時間(無料)
開館時間:4月〜9月 10:00-18:00、10月〜3月 10:00-16:00
入場料:€10(学生€7.50、子供€2.50)
所要時間:城見学1.5時間+町散策1時間=半日
おすすめ:中世祭り期間(7月末〜8月初旬)は騎士のトーナメントや市場が再現される
絶対食べたいルクセンブルクグルメ
ジュッド・マット・ガーデボウネン(Judd mat Gaardebounen)
ルクセンブルクの国民食とも言える伝統料理。豚の首肉の塩漬け(Judd)を、クリーミーなソラマメ(Gaardebounen)と一緒に煮込んだ、素朴ながら奥深い味わいの一品です。
肉は柔らかく煮込まれ、ほろほろと崩れる食感。豆はバターとクリームでコクがあり、肉の塩気と絶妙にマッチします。付け合わせには茹でたジャガイモが定番で、ボリューム満点。寒い冬の日に食べると、体の芯から温まる家庭の味です。
おすすめレストラン:Am Tiirmschen(旧市街)、Brasserie Guillaume(Place Guillaume II)、Chiggeri(高級店)
バウンシュルップ(Bouneschlupp)
ルクセンブルクのソウルフード、グリーンビーンのスープ。緑豆、ジャガイモ、ベーコン、玉ねぎをじっくり煮込み、クリームで仕上げた、優しくて懐かしい味わいのスープです。
一口飲むと、野菜の甘みとベーコンの旨味が口いっぱいに広がります。濃厚ながら重すぎず、パンを浸して食べるのが地元流。特に秋から冬にかけて、レストランのメニューに登場する機会が増えます。家庭ごとにレシピが微妙に異なるのも面白いポイント。
おすすめ:伝統的なブラッスリーや家庭料理の店で注文を。パンと一緒に€8〜12程度。
グロンパーキッシェルハー(Gromperekichelcher)
ルクセンブルク版のポテトパンケーキ。すりおろしたジャガイモに玉ねぎ、パセリ、卵を混ぜて揚げ焼きにした、サクサクの食感がたまらない軽食です。
外はカリッと香ばしく、中はホクホク。熱々のうちに食べると、ジャガイモの自然な甘みと玉ねぎの香りが絶妙に調和します。アップルソースやサワークリームを添えて食べるのが定番で、ビールとの相性も抜群。
特に、週末の朝市(Place Guillaume II)や、お祭りの屋台で売られているものが絶品。出来立てを紙袋に入れてもらい、街歩きしながら頬張る幸せは格別です。
価格:屋台で1枚€2〜3、レストランで€6〜8(3枚セット)
モーゼルワイン
ルクセンブルクの東側、モーゼル川沿いの斜面で栽培されるブドウから造られるワイン。リースリング、ピノ・グリ、クレマン(スパークリング)が特に有名で、フランスやドイツと比べても遜色ない品質を誇ります。
ルクセンブルクのワインは生産量が少ないため、国外にはほとんど輸出されず、現地でしか味わえない貴重なもの。白ワインが中心で、ミネラル感のあるフレッシュな味わいが特徴。特にクレマンは、シャンパーニュに引けを取らない繊細な泡立ちと果実味で、価格も€15〜25と手頃です。
ワイナリー巡りもおすすめ。モーゼル川沿いの村々(Remich、Grevenmacher、Ehnenなど)には小規模なワイナリーが点在し、テイスティングツアーを実施しています。ブドウ畑の中を散策し、醸造所を見学して、作り手の話を聞きながら飲むワインは格別です。
ワイナリーツアー:Caves Bernard-Massard(クレマン専門)、Domaine Viticole Mathis Bastian(オーガニックワイン)、Caves St Martin(歴史的ワイナリー)
クアフ(Quetschentaart)
プラムのタルト。ルクセンブルクの秋の風物詩で、特に8月から10月にかけて、どのパティスリーやカフェでも見かける定番デザートです。
サクサクのパイ生地の上に、半分に切った紫色のプラムがぎっしりと並べられ、オーブンで焼き上げられます。プラムの酸味と自然な甘み、バターの香りが三位一体となった、シンプルながら奥深い味わい。温かいうちにバニラアイスやクリームを添えて食べると、至福のひととき。
おすすめ:Namur(老舗パティスリー、Grand Rue沿い)、Oberweis(高級チョコレート・ケーキ店)
ルクセンブルクのチョコレート
ベルギーやスイスほど有名ではありませんが、ルクセンブルクにも素晴らしいショコラティエが存在します。特に「Oberweis」と「Namur」は、伝統と革新を融合させた高品質なチョコレートで知られています。
Oberweisのプラリネは、ヘーゼルナッツやアーモンドのペーストにカカオを混ぜ、繊細な層を作り出した芸術品。一粒口に含むと、滑らかな舌触りとナッツの香ばしさ、カカオの深い苦味が次々と展開します。パッケージも美しく、お土産にも最適。
Namurは1887年創業の老舗で、伝統的なレシピを守りながらも、季節限定フレーバーなど新しい試みも。特に「Rochers」(ナッツとチョコの塊)は、カリッとした食感と濃厚な味わいがクセになります。
価格:100gで€8〜15程度。ギフトボックスは€20〜
レストランおすすめリスト
高級ディナー(€60〜150/人)
- Clairefontaine – ミシュラン1つ星、フレンチ料理の最高峰
- La Cristallerie – モダンヨーロピアン、美しい盛り付け
- Mosconi – イタリアン、ミシュラン1つ星
中級レストラン(€25〜50/人)
- Am Tiirmschen – 伝統的ルクセンブルク料理
- Brasserie Guillaume – Place Guillaume IIの老舗ブラッスリー
- Chocolate House Nathalie Bonn – ホットチョコレートとデザート
カジュアル(€10〜20/人)
- Boulangerie Fischer – サンドイッチとペイストリー
- Urban Bar – グルント地区、ハンバーガーとビール
- Kaempff-Kohler – 老舗ベーカリー・カフェ
体験したい文化・アクティビティ
ウェンゼルの散策路(Wenzel Walk)
ルクセンブルクの1000年の歴史を、約5kmの散策路で体験できる観光ルート。旧市街の高台から始まり、城壁、塔、地下通路、渓谷を通って、再び旧市街へと戻る周回コースです。
このルートの素晴らしさは、単に観光名所を巡るだけでなく、ルクセンブルクの独特の地形と歴史が織りなす物語を体感できること。憲法広場からスタートし、ボックの砲台の地下通路を抜け、渓谷へ下り、古い城門をくぐり、階段を登って再び旧市街へ。高低差100メートル以上を上下しながら、視点が次々と変わり、毎回新しい発見があります。
道中には、15世紀の塔、17世紀のスペイン要塞、古い教会、石橋など、各時代の建築物が残り、案内板が歴史を解説してくれます。特に、渓谷から見上げる城壁と旧市街の景色は圧巻。中世の人々がこの断崖絶壁をどう利用したのか、想像力が刺激されます。
所要時間:2.5〜3時間(ゆっくり歩いて写真撮影含む)
難易度:中程度(階段多め、歩きやすい靴必須)
マップ:観光案内所で無料配布、またはアプリ「Luxembourg City History」
モーゼル川ワイナリーツアー
ルクセンブルクの東側、モーゼル川沿いに広がるワイン産地を訪れるツアー。レンタカーか、公共バス(無料)を利用して、いくつかのワイナリーを巡る1日ツアーがおすすめです。
朝、ルクセンブルク中央駅からバス175番に乗り、モーゼル川沿いの村Remichへ(約45分)。ここは「ルクセンブルクのワイン首都」と呼ばれ、川沿いのプロムナードにはカフェやワインバーが並びます。まずは川辺を散歩し、対岸のドイツの景色を眺めながら、地元のベーカリーで朝食を。
午前中は、Caves Bernard-Massardでクレマン(スパークリングワイン)のツアーに参加。地下セラーを見学し、伝統的な製法を学び、最後に3種類のクレマンをテイスティング。泡の繊細さと果実味のバランスに驚くはず。
昼食は、Ehnenのレストランでモーゼルワインと地元料理のペアリング。川を見下ろすテラス席で、リースリングと川魚のフライ、ピノ・グリと豚肉のローストを楽しみます。
午後は、小規模な家族経営ワイナリーを訪問。畑を歩き、ブドウの樹に触れ、醸造タンクを見学。作り手の情熱とこだわりを直接聞きながら飲むワインは、ラベルだけでは分からない物語を教えてくれます。
費用:ワイナリーツアー€15〜30、テイスティング€5〜15
予約:小規模ワイナリーは事前予約推奨
アクセス:バス175番(無料)で約45分
クリスマスマーケット(Winter Lights)
11月下旬から1月初旬にかけて、ルクセンブルク市内の複数の広場で開催されるクリスマスマーケット。特にPlace d’ArmesとPlace Guillaume IIの2つが中心で、イルミネーション、屋台、アトラクションが並び、街全体がメルヘンの世界に変わります。
夕方、日が沈むと同時にライトが灯り始めます。木々に巻かれた無数の電球、広場中央の巨大なクリスマスツリー、屋台の温かい光が石畳に反射し、空気中にはシナモンとワインの香りが漂います。
屋台では、ホットワイン(Glühwein)、ホットチョコレート、焼きソーセージ、クレープ、ローストナッツなど、冬の定番グルメが勢揃い。特におすすめは、ルクセンブルク版のホットワインで、シナモン、クローブ、オレンジピールが効いた、体が芯から温まる一杯。かわいいマグカップ付きで、持ち帰りもできます(€3デポジット制)。
手工芸品の屋台も充実。木製のおもちゃ、手編みのニット、陶器、キャンドル、オーナメントなど、どれも職人の手作りで温もりがあります。お土産探しにも最適。
期間:11月下旬〜1月初旬
時間:12:00〜22:00(金土は〜23:00)
入場:無料
ミュレルタール(Mullerthal)ハイキング
「ルクセンブルクのスイス」と呼ばれる東部の自然保護区。奇岩、苔むした森、清流が織りなす幻想的な景観の中を歩くハイキングコースで、自然愛好家には必見のスポットです。
最も人気のあるルートは、EchternachからスタートするTrail A(約37km、3日間)ですが、1日で楽しめる短縮ルートも豊富。おすすめは、Beaumontの滝からSchluesselへの約6kmコース。森の中の小道を進むと、突然巨大な砂岩の岩壁が現れ、その間を縫うように道が続きます。
岩の間を通り抜けると、視界が開けて緑のじゅうたんのような草原、またすぐに深い森へ。川のせせらぎ、鳥のさえずり、風が木々を揺らす音だけが聞こえる静寂の中を歩く贅沢。特に春の新緑と秋の紅葉シーズンは、色彩のコントラストが美しく、写真映えも抜群です。
途中、岩の裂け目にできた天然の展望台からは、谷全体を見渡せます。眼下には小さな村の赤い屋根が点在し、遠くには丘陵が連なる、まさに絵画のような景色。
アクセス:バス111番でEchternachまで約1時間(無料)
難易度:初級〜中級(コースにより異なる)
装備:トレッキングシューズ、水、軽食、雨具
マップ:Mullerthal Trail公式サイトで無料ダウンロード可
国民の日(National Day)
6月23日は、大公の誕生日を祝う国民の祝日。前日の22日夜から、ルクセンブルク市内は大規模なお祭りモードに突入します。
22日夜、Place d’Armesでは無料コンサートが開催され、地元バンドから国際的なアーティストまでが登場。広場は人で埋め尽くされ、ビールとソーセージを片手に音楽を楽しむ人々の熱気で溢れます。そして23時、花火が夜空を彩ります。旧市街の高台から打ち上げられる花火は、渓谷に反響し、音と光のスペクタクルを演出。
翌23日は、正午に大公宮殿前で衛兵交代式と軍事パレード。大公一家が姿を見せ、市民に手を振る姿は、小国ならではの親密さを感じさせます。午後は街中でストリートパフォーマンス、マーケット、子供向けアトラクションが繰り広げられ、夜まで祝祭ムードが続きます。
日程:6月22日夜〜23日
花火:22日23:00〜(Place de la Constitutionから見るのがベスト)
注意:ホテルは数ヶ月前から満室になるため、早めの予約必須
ルクセンブルク以外の魅力的な街
ルクセンブルクは小さな国なので、日帰りや1泊で周辺の街を訪れるのも簡単です。公共交通が完全無料なので、気軽に足を延ばしてみましょう。
エシュ=シュル=アルゼット(Esch-sur-Alzette)
ルクセンブルク第2の都市で、かつて鉄鋼業で栄えた工業都市。現在は産業遺産を活用した文化都市として生まれ変わり、2022年には欧州文化首都に選ばれました。
見どころは、Belval地区の旧製鉄所跡。高さ50メートルの巨大な溶鉱炉がそのまま保存され、その周囲に大学、コンサートホール、ショッピングセンターが建設されています。夜にライトアップされた溶鉱炉は、産業遺産とアートが融合した、SF映画のような迫力ある景観を作り出します。
また、街の中心部には、カラフルなファサードの建物が並ぶPlace de l’Hôtel de Villeがあり、週末にはマーケットが開かれます。ルクセンブルク市とは異なる、庶民的で活気ある雰囲気が魅力。
アクセス:鉄道で約30分(無料)
所要時間:半日
おすすめ:Belval溶鉱炉見学、Rockhal(コンサートホール)でライブ鑑賞
クレルヴォー(Clervaux)
ルクセンブルク北部、アルデンヌの森に囲まれた小さな町。中世の城、ベネディクト会修道院、そして世界的に有名な写真展「The Family of Man」があります。
クレルヴォー城の中に常設展示されている「The Family of Man」は、1955年にニューヨーク近代美術館で開催された伝説的な写真展。エドワード・スタイケンがキュレーションした503点の写真が、人類共通のテーマ(誕生、愛、労働、死)を通じて「人間の家族」を表現しています。ユネスコ世界記憶遺産に登録され、今なお多くの人々に感動を与え続けています。
また、町の高台にある修道院では、グレゴリオ聖歌のミサに参加できます(要事前確認)。静かな森の中、修道士たちの歌声に包まれる体験は、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な時間です。
アクセス:鉄道で約1.5時間(無料)
所要時間:半日〜1日
入場料:The Family of Man €8(学生€6)
エヒタナハ(Echternach)
ルクセンブルク最古の町で、7世紀に聖ウィリブロードによって修道院が建てられたことから発展しました。中世の面影を残す旧市街と、周囲の自然が魅力。
見どころは、聖ウィリブロード大聖堂。ロマネスク様式の美しい教会で、地下には聖人の墓があります。毎年聖霊降臨祭の火曜日(5月〜6月)には、「Echternach Dancing Procession」という独特の巡礼行事が行われます。参加者が3歩進んで2歩下がる独特のステップで街を練り歩く姿は、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。
また、町の周囲には前述のMullerthal Trailが広がり、自然散策の拠点としても最適。町自体もコンパクトで、カフェやベーカリーが点在し、のんびりとした時間を過ごせます。
アクセス:バス111番で約1時間(無料)
所要時間:半日(ハイキング含むなら1日)
おすすめ:町の散策後、Mullerthall Trailでハイキング
隣国への日帰り旅行
ルクセンブルクの立地の良さを活かして、隣国への日帰り旅行も簡単。国際列車が頻繁に運行しており、短時間で複数の国を体験できます。
トリーア(ドイツ):鉄道で約50分。古代ローマ時代の遺跡が残る歴史都市。ポルタ・ニグラ(黒い門)やローマ浴場跡が見どころ。ドイツ最古のワイン産地でもあり、リースリングの試飲も楽しめます。
メス(フランス):鉄道で約1時間。ロレーヌ地方の中心都市で、ゴシック建築の傑作サン・テティエンヌ大聖堂が有名。ステンドグラスにはシャガールの作品も。フレンチグルメも堪能できます。
ブリュッセル(ベルギー):鉄道で約3時間。グランプラス、アトミウム、ベルギーワッフルとビールを満喫。日帰りには少し遠いですが、早朝出発なら十分可能。
ベストシーズンと気候
春(3月〜5月)
平均気温8〜18℃。冬の寒さが和らぎ、木々が芽吹き、花が咲き始める季節。特に4月下旬〜5月は、渓谷の緑が鮮やかで、ハイキングに最適。ただし、雨が多いので雨具は必携。
おすすめイベント:復活祭(3月〜4月)、Schueberfouer春市(5月)
夏(6月〜8月)
平均気温18〜25℃。ルクセンブルク観光のベストシーズン。日照時間が長く(20時頃まで明るい)、テラス席でのディナーや夜の散歩が快適。ただし、観光客が最も多く、ホテル料金も高め。
おすすめイベント:国民の日(6月23日)、Schueberfouer夏祭り(8月末〜9月)、Summer in the City音楽祭(7月〜8月)
秋(9月〜11月)
平均気温10〜18℃。紅葉が美しく、特にMullerthallや渓谷の景色が絶景。ワインの収穫期でもあり、モーゼル地方のワイナリーで収穫祭が開かれます。9月はまだ温暖で快適、10月以降は冷え込むので防寒具必須。
おすすめイベント:ワイン収穫祭(9月)、ナッツ市(10月)
冬(12月〜2月)
平均気温0〜5℃。寒いですが、クリスマスマーケットの時期(11月末〜1月初旬)はロマンチックで特別な雰囲気。雪が積もることもあり、白く染まった旧市街は絵本のよう。ただし、一部の観光施設(ボックの砲台など)は冬季閉鎖。
おすすめイベント:クリスマスマーケット(11月下旬〜1月初旬)、新年花火(12月31日)
総合的なベストシーズン
5月〜9月が最も快適。特に5月中旬〜6月は、観光客が少なめで気候が良く、緑が美しい穴場シーズン。クリスマスマーケット目当てなら12月がマスト。
実用情報・旅の準備
ビザ・入国要件
日本国籍の場合、観光目的で90日以内の滞在はビザ不要(シェンゲン協定)。パスポートの残存期間は、出国予定日から3ヶ月以上必要です。
2025年以降、シェンゲン圏への入国にはETIAS(欧州渡航情報認証システム)の事前登録が必要になる予定。オンラインで簡単に申請でき、費用は€7、3年間有効です。
航空券・アクセス
日本からルクセンブルクへの直行便はありません。主な経由地は、フランクフルト、パリ、アムステルダム、ブリュッセルなど。所要時間は経由地により14〜18時間。
おすすめルート:
・ルフトハンザ経由フランクフルト(乗継1回、約15時間)
・KLM経由アムステルダム(乗継1回、約16時間)
・ブリュッセルまで飛び、鉄道でルクセンブルクへ(3時間)も便利
ルクセンブルク空港(LUX)から市内へは、バス16番で約30分(無料)。タクシーは約€30。
通貨・両替・キャッシュレス
通貨はユーロ(EUR)。1ユーロ≒165円(2024年12月レート)。クレジットカード(Visa、Mastercard)がほぼ全ての場所で使えるため、現金は最小限でOK。
両替は空港や市内の銀行、両替所で可能ですが、レートはあまり良くありません。ATMでクレジットカードのキャッシング機能を使う方が手数料が安い場合が多いです。
チップ文化は基本的にありませんが、優れたサービスに対して5〜10%程度渡すと喜ばれます。
公共交通(完全無料!)
ルクセンブルクの最大の魅力の一つが、国内全ての公共交通が完全無料であること。バス、トラム、鉄道すべてがタダで乗り放題です(1等車を除く)。
市内交通:
・バス:市内中心部を網羅。Google Mapsで検索可能
・トラム:Kirchberg(EU地区)とルクセンブルク駅を結ぶ
・Pfaffenthal Lift:旧市街とグルント地区を結ぶエレベーター(無料)
国内長距離:
・鉄道:ヴィアンデン、エシュ、エヒタナハなど主要都市へ
・バス:鉄道が通っていない村へもアクセス可能
アプリ:「Mobiliteit.lu」で時刻表と路線検索が便利(無料、オフライン対応)
宿泊
ルクセンブルクの宿泊費は西ヨーロッパでも高めですが、選択肢は豊富です。
バジェット(€30〜60/泊):
・Youth Hostel Luxembourg City(中心部、ドミトリー€30〜)
・Auberge de Jeunesse(グルント地区、景色が良い)
中級(€80〜150/泊):
・Hotel Parc Beaux Arts(旧市街中心、アクセス抜群)
・Hotel Simoncini(近代的、快適)
・Novotel Luxembourg Centre(駅近、ビジネスホテル)
高級(€200〜500/泊):
・Le Royal Hotels & Resorts(5つ星、旧市街の中心)
・Sofitel Luxembourg Le Grand Ducal(エレガントなデザイン)
・Hotel Le Place d’Armes(歴史的建築、最高のロケーション)
予約のコツ:ルクセンブルクは小さい都市なので、どこに泊まっても徒歩圏内。ただし、国民の日(6月)やクリスマスシーズンは数ヶ月前から満室になるため、早めの予約が必須。
インターネット・SIM
ルクセンブルクは、市内中心部の多くのカフェ、レストラン、公共施設で無料Wi-Fiが利用できます。また、「HotCity」という公共Wi-Fiネットワークも整備されています。
より安定したネット環境が必要な場合は、ヨーロッパ周遊SIMカードがおすすめ。Vodafone、Orange、Tango(ルクセンブルクのキャリア)などで、30日間10GBプランが€20〜30程度。空港や市内の携帯ショップで購入可能。
日本からポケットWi-Fiをレンタルしていく方法もありますが、ヨーロッパ周遊する場合以外はコスパが悪いかもしれません。
治安・安全対策
ルクセンブルクは世界でも有数の治安の良い国。夜間の一人歩きも比較的安全ですが、観光地ではスリや置き引きに注意が必要です。
注意すべき場所:
・ルクセンブルク中央駅周辺(夜間は人通りが少ない)
・混雑する観光地やイベント会場(スリに注意)
・グルント地区の夜(酔っ払いが多い週末)
基本的な対策:
・貴重品は分散して持つ
・リュックは前に抱える
・カフェでは荷物を椅子に置かない
・緊急時は112(EU共通の緊急電話番号)
言語
公用語はルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語の3つ。ただし、観光地やレストラン、ホテルでは英語が広く通じるため、英語だけで問題なく旅行できます。
地元の人は、状況に応じて言語を切り替える多言語話者が多く、レストランではフランス語、スーパーではドイツ語、仕事では英語、というように使い分けます。観光客には自動的に英語で話してくれることがほとんど。
便利なフレーズ:
・Moien(モイエン):おはよう/こんにちは(ルクセンブルク語)
・Merci(メルシー):ありがとう(フランス語)
・Äddi(アディ):さようなら(ルクセンブルク語)
電源・電圧
電圧は230V、周波数は50Hz。プラグはCタイプ(2つの丸いピン)。日本の電化製品を使う場合、変圧器と変換プラグが必要です。
最近のスマホやノートPCは100-240V対応のものが多いため、変換プラグのみで使用可能。ただし、ドライヤーやヘアアイロンなどは要注意。
Luxembourg Card
観光施設の入場料と公共交通(すでに無料ですが)がセットになった観光パス。1日券€13、2日券€20、3日券€28。
対象施設は70以上あり、ボックの砲台、ヴィアンデン城、各種美術館などが無料または割引に。1日に3つ以上の有料施設を訪れるなら元が取れます。ただし、すでに無料の施設も多いので、事前に訪問予定の施設をチェックしてから購入を検討しましょう。
購入場所は、観光案内所、主要ホテル、オンライン(公式サイト)。
モデルコース
2泊3日:ルクセンブルク市内集中コース
1日目:到着→旧市街散策→ボックの砲台→憲法広場→ノートルダム大聖堂→Place d’Armesでディナー
2日目:ウェンゼルの散策路→国立歴史美術博物館→グルント地区でランチ→モダンアート美術館(MUDAM)→夕方グルント地区のバーでビール
3日目:朝市(土曜の場合)→チョコレート店巡り→午後出発
4泊5日:ルクセンブルク満喫コース
1日目:到着→旧市街散策→ボックの砲台→憲法広場
2日目:ヴィアンデン城日帰り旅行(バスで往復)
3日目:モーゼル川ワイナリーツアー(Remich→Ehnen→Grevenmacher)
4日目:ウェンゼルの散策路→グルント地区→夜はミシュラン星付きレストラン
5日目:Mullerthalハイキング(Echternach)→午後出発
7泊8日:ルクセンブルク&周辺国周遊コース
1-3日目:ルクセンブルク市内(上記2泊3日コース)
4日目:トリーア日帰り(ドイツ)
5日目:ヴィアンデン+クレルヴォー
6日目:モーゼル川ワイナリーツアー
7日目:メス日帰り(フランス)
8日目:最後のショッピング→出発
まとめ:小さな大国が教えてくれること
ルクセンブルクを旅して気づくのは、「大きさ」と「豊かさ」が必ずしも一致しないということ。東京23区ほどの小さな国が、1000年の歴史を守りながら、世界で最も豊かで多文化な社会を築き上げた。中世の城壁とガラスのビルが共存し、3つの言語が自然に飛び交い、ミシュラン星付きレストランと家庭的なブラッスリーが肩を並べる。
旧市街の石畳を歩き、渓谷を見下ろし、地下要塞の暗闇を抜け、グルントの川沿いでワインを傾ける。その一つ一つの瞬間が、「小さいからこそ、すべてが特別」という真実を教えてくれる。大都市のように迷うこともなく、田舎のように退屈することもなく、全てが徒歩圏内に凝縮された奇跡のような場所。
そして何より、ルクセンブルクの人々の穏やかさと誇り。自分たちの歴史と文化を大切にしながら、世界中の人々を温かく迎え入れる姿勢。公共交通を無料にし、美術館を開放し、訪れる人々に「ここはあなたの場所でもある」と伝えてくれる優しさ。旅を終えて帰るとき、きっとあなたはこう思うはず。「また戻ってきたい」と。さあ、小さな大国ルクセンブルクへ、あなただけの物語を見つけに行こう。

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