
セイロンティーの芳醇な香り、象の群れが横切る赤土の道、シギリヤロックに射す朝日の金色、波打ち際で響くクリケットの歓声、肌にまとわりつく熱帯の湿気。
スリランカは「インド洋の宝石」と呼ばれる島国だ。世界遺産の古都、紅茶畑を抜ける列車、アーユルヴェーダの聖地、そして野生動物の楽園。北海道よりやや小さな国土に、これほど多彩な魅力が詰まっている場所は世界でも稀だろう。
朝は霧に包まれたヌワラエリヤの紅茶農園で目覚め、昼は古代遺跡シギリヤロックを登り、夕暮れ時にはゴールの城壁で波の音を聞く。夜はコロンボのストリートでカレーとコットゥをかき込み、トゥクトゥクの喧騒に身を任せる。スリランカは五感すべてを刺激する国だ。
2026年最新情報をもとに、スリランカ旅行の魅力、費用、観光スポット、グルメまで徹底的にガイドする。
スリランカ基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式国名 | スリランカ民主社会主義共和国 |
| 首都 | スリジャヤワルダナプラコッテ(法定)/ コロンボ(商業首都) |
| 人口 | 約2200万人 |
| 面積 | 約65,610km²(北海道の約0.8倍) |
| 言語 | シンハラ語、タミル語、英語 |
| 通貨 | スリランカルピー(LKR)1ルピー≈0.45円 |
| 宗教 | 仏教約70%、ヒンドゥー教約13%、イスラム教約10% |
| 時差 | 日本より-3.5時間 |
| ビザ | ETA(電子渡航認証)必要、オンライン申請可 |
| 電圧 | 230V/50Hz、プラグはD型・G型 |
日本からのアクセス
スリランカへは直行便が就航している。スリランカ航空が成田国際空港からコロンボのバンダラナイケ国際空港まで週4便運航しており、所要時間は約9.5時間だ。
経由便を選ぶなら、シンガポール航空、タイ航空、キャセイパシフィック航空などを利用できる。シンガポール経由なら総所要12〜14時間、バンコク経由なら11〜13時間程度。直行便より安くなることも多いが、乗り継ぎ時間を含めると長旅になる。
入国にはETA(電子渡航認証)が必須
観光目的の場合、オンラインで事前申請が必要。申請は公式サイトから可能で、費用は50米ドル、承認まで通常24時間以内。パスポートの残存期間は入国時6ヶ月以上必要。
スリランカ旅行の費用
7泊8日の予算目安を、旅のスタイル別に3パターン紹介する。
節約旅
5〜8万円
- 航空券: 4〜6万円(経由便)
- 宿泊: 1泊1,000〜2,000円(ゲストハウス)
- 食費: 1日500〜800円(ローカル食堂)
- 移動: バス・列車中心
- 観光: 無料スポット中心
スタンダード旅
10〜15万円
- 航空券: 6〜9万円(直行便または好条件経由便)
- 宿泊: 1泊3,000〜5,000円(中級ホテル)
- 食費: 1日1,500〜2,500円(ミックス)
- 移動: トゥクトゥク・鉄道・専用車
- 観光: 主要スポット網羅
リッチ旅
20〜35万円
- 航空券: 10〜18万円(ビジネスクラス)
- 宿泊: 1泊1〜3万円(高級リゾート)
- 食費: 1日4,000〜8,000円(レストラン)
- 移動: 専用車+ドライバー
- 観光: プライベートツアー、アーユルヴェーダ
スリランカの観光スポット
シギリヤロック

スリランカ観光の最大のハイライト。ジャングルの中に突如そびえ立つ、高さ約200メートルの巨大な岩山だ。5世紀に建てられた宮殿跡が頂上に残り、世界遺産に登録されている。
登るには約1200段の階段を上る必要がある。途中、岩壁に描かれた「シギリヤ・レディ」と呼ばれる色鮮やかなフレスコ画、巨大な獅子の爪の遺構、鏡のように磨かれたミラーウォールが現れる。頂上から360度のパノラマビューは息を呑む美しさだ。
おすすめは早朝。朝日が昇る瞬間、霧がゆっくりと晴れていくシーンは幻想的だ。暑くなる前に登れるメリットもある。
キャンディ仏歯寺

スリランカの古都キャンディにある、仏教徒にとって最も神聖な寺院。仏陀の歯が納められているとされ、毎日朝・昼・夕の3回、儀式が行われる。白い衣装をまとった参拝者たちが蓮の花を捧げ、読経が響き渡る光景は厳かで美しい。
寺院の周りにはキャンディ湖が広がり、夕暮れ時の散策が心地よい。毎年8月には「ペラヘラ祭」が開催され、象の行列や伝統舞踊が街を練り歩く。スリランカ最大の祭りだ。
ダンブッラ石窟寺院
紀元前1世紀に造られた石窟寺院。5つの洞窟には、150体以上の仏像と、天井や壁一面に描かれた壁画が残されている。金色に輝く涅槃仏、何体もの座仏が並ぶ姿は圧巻だ。
洞窟へは岩山を登る必要があり、途中で野生の猿に遭遇することも。頂上からの眺めも素晴らしく、緑のジャングルと遠くに見えるシギリヤロックのシルエットが印象的だ。
ゴール旧市街

南部海岸にある、オランダ植民地時代の面影を残す港町。ヨーロッパ風の石造りの建物、石畳の路地、城壁に囲まれた街並みは、まるで時が止まったかのようだ。世界遺産に登録されている。
城壁の上を歩けば、インド洋の青い海が一望できる。夕暮れ時には地元の人々がクリケットをしたり、散歩したりする光景が見られる。おしゃれなカフェやブティックも増えており、のんびり過ごすのに最適だ。
ヌワラエリヤの紅茶畑

中央高地に位置する避暑地。「リトル・イングランド」と呼ばれるほど英国風の街並みが残り、霧に包まれた紅茶畑が延々と続く。標高約1900メートルにあり、年間を通じて涼しい。
紅茶工場を見学し、摘みたての茶葉からセイロンティーが作られる過程を学べる。工場併設のティールームで飲む紅茶の味は格別だ。朝早く、茶摘み女性たちが働く姿を見るのも貴重な体験になる。
ヤーラ国立公園
スリランカ最大のサファリパーク。ヒョウの生息密度が世界で最も高いことで知られ、象、水牛、ワニ、孔雀など多様な野生動物が見られる。
ジープサファリは早朝5時頃からスタート。赤土の道を進み、茂みからヒョウが姿を現す瞬間、象の群れが水飲み場に集まる光景は忘れられない。運が良ければナマケグマにも出会える。
スリランカグルメ
ライス&カレー
スリランカ料理の定番。ご飯を中心に、複数種類のカレー(チキン、魚、ダール、野菜など)、サンボル(ココナッツの薬味)、パパダム(豆せんべい)が並ぶ。全部を混ぜて手で食べるのが現地スタイルだ。
スリランカのカレーはインドとは違い、ココナッツミルクがベースで、スパイスが効いているが辛すぎない。ローカル食堂なら1食200〜400円程度で、食べ放題形式の店も多い。
コットゥ
スリランカのストリートフードの王様。ロティ(薄いパン)を細かく刻み、野菜、卵、肉と一緒に鉄板で炒めた料理。調理中に金属のヘラで叩く「カンカン」という音が、夜の街に響く。
スパイシーで香ばしく、ボリューム満点。屋台なら300〜500円で食べられる。チキン、マトン、シーフードなど具材を選べる。
ホッパー

米粉とココナッツミルクで作る、お椀型のクレープのような料理。中央に卵を落とした「エッグホッパー」が人気で、朝食の定番だ。カリカリの端としっとりした中心部の食感の違いが楽しい。
サンボルやカレーと一緒に食べる。甘いココナッツシロップをかけた「ミルクホッパー」もおすすめ。
ストリングホッパー
米粉を麺状にして蒸した料理。細いビーフンのような見た目で、ふんわりとした食感。カレーやサンボルをかけて食べる。朝食や夕食によく出される。
キリバット
ココナッツミルクで炊いたご飯。祝い事や新年に食べる縁起の良い料理だ。ルヌミリス(唐辛子とココナッツのペースト)やバナナと一緒に食べるのが一般的。
セイロンティー
スリランカといえば紅茶。中央高地で栽培されるセイロンティーは、世界三大紅茶のひとつに数えられる。ヌワラエリヤ、ディンブラ、ウバなど産地によって香りや味わいが異なる。
現地では砂糖とミルクをたっぷり入れた甘いミルクティーが主流。紅茶工場で買えば、高品質な茶葉が日本の半額以下で手に入る。
おすすめ食事エリア
コロンボ – ガレフェイス・グリーン周辺
海沿いの広場で、夕暮れ時には多くの屋台が並ぶ。コットゥ、ワデ(豆のコロッケ)、焼きトウモロコシなどを格安で食べられる。地元民と観光客が混じり合う活気あふれる場所。
ゴール旧市街
植民地時代の建物を改装したカフェやレストランが多数。おしゃれな雰囲気で西洋料理とスリランカ料理の融合メニューが楽しめる。城壁を眺めながらのディナーは特別な体験になる。
キャンディ – キャンディ湖周辺
湖畔に並ぶレストランで、伝統的なスリランカ料理を味わえる。仏歯寺の参拝後、湖を眺めながらの食事はリラックスできる。夜はライトアップされた寺院が美しい。
スリランカでしかできない体験
紅茶畑を抜ける列車旅(キャンディ→エッラ)

世界で最も美しい列車ルートのひとつ。キャンディからエッラまでの約7時間の旅は、延々と続く紅茶畑、霧に包まれた山々、滝、トンネル、高架橋と、景色が次々と変わる。
ドアが開いたまま走る列車に乗り、風を感じながら足をぶらぶらさせる。ローカルの人々とおしゃべりし、車内販売のスナックやチャイを買う。これぞスリランカ旅のハイライトだ。
特にヌワラエリヤ〜エッラ間は絶景区間。早朝発の列車なら、朝霧の中を走る幻想的な光景が楽しめる。予約は早めに。
ホエールウォッチング(ミリッサ)
南部の海岸町ミリッサは、ホエールウォッチングのメッカ。11月〜4月のシーズンには、シロナガスクジラ、マッコウクジラ、イルカの群れに高確率で遭遇できる。
早朝6時頃にボートで出発し、3〜4時間のクルーズ。巨大なシロナガスクジラが潮を吹き上げる瞬間、尾びれを振り上げて潜っていく姿は感動的だ。イルカの群れに囲まれることもある。
アーユルヴェーダ体験
スリランカはアーユルヴェーダの本場。5000年の歴史を持つ伝統医学で、ハーブオイルを使ったマッサージ、額にオイルを垂らすシロダーラ、スチームバスなどの施術が受けられる。
本格的なトリートメントは、医師の診断のもと、数日〜数週間かけて体質改善を目指す。短期滞在なら、リゾートホテルのスパで数時間のコースを試すのもいい。深いリラクゼーションが得られる。
ピンナワラの象の孤児院
親を失った象や負傷した象を保護する施設。約80頭の象が暮らしており、1日2回、象たちが川で水浴びする光景が見られる。
ゆっくりと川に入り、鼻で水をかけ合い、泥遊びをする象たちの姿は微笑ましい。赤ちゃん象にミルクをあげる時間帯もあり、家族連れに人気だ。
スリランカの都市・エリア
コロンボ
商業首都。近代的なビル、植民地時代の建築、寺院が混在する活気ある都市。ガレフェイス・グリーンの夕暮れ、ペターマーケットの喧騒、ベイラ湖の静けさ。スリランカの玄関口。
キャンディ
最後の王朝があった古都。仏歯寺、キャンディ湖、伝統舞踊。文化と歴史の中心地。ここから紅茶畑への列車旅が始まる。世界遺産の街。
ゴール
南部の港町。オランダ植民地時代の城壁と石畳の街並み。おしゃれなカフェ、ブティック、アートギャラリーが並ぶ。夕暮れの城壁散歩が至福。ヨーロッパとアジアが融合した独特の雰囲気。
エッラ
山岳地帯の小さな町。リトル・アダムス・ピーク、ナインアーチブリッジなど絶景スポットだらけ。バックパッカーの聖地で、カフェやゲストハウスが充実。トレッキングの拠点。
ジャフナ
最北端の都市。タミル文化が色濃く残り、ヒンドゥー寺院が多い。まだ観光客が少ない穴場エリア。ジャフナカレー、ナルール・カンダスワミ寺院が見どころ。独特の文化体験ができる。
トリンコマリー
東海岸のビーチリゾート。透明度の高い海、ニラヴェリビーチ、ホエールウォッチング。ダイビングスポットとしても人気。静かにビーチでのんびりしたい人向け。
ベストシーズン
スリランカは熱帯性モンスーン気候で、地域によってベストシーズンが異なる。
西海岸・南海岸
11月〜4月 ★★★★★
コロンボ、ゴール、ミリッサ、ベントタなど主要観光地のベストシーズン。乾季で晴天が続き、海も穏やか。ホエールウォッチングもこの時期。最も人気のシーズンで宿泊費は高め。
東海岸
5月〜9月 ★★★★☆
トリンコマリー、アルガムベイなど東海岸の乾季。西海岸が雨季の時期、東海岸は快晴。サーフィンやダイビングに最適。年間を通じてどこかしらベストシーズンがあるのがスリランカの魅力。
中央高地
1月〜4月 ★★★★☆
キャンディ、ヌワラエリヤ、エッラなど紅茶畑エリア。比較的乾燥して晴天が多い。ただし高地は年間を通じて涼しく霧が出やすい。列車旅はどの時期でも楽しめるが、雨季は景色が霞むことも。
雨季でも楽しめる
スリランカの雨季は一日中降り続くのではなく、スコールのように短時間激しく降る。午前中晴れて午後雨、というパターンが多い。宿泊費が安くなり、観光地も空いているメリットもある。
実用情報
通信・インターネット
空港でSIMカードを購入するのがおすすめ。Dialog、Mobitel、Airtelなどの通信会社があり、旅行者向けのプリペイドSIMが1000〜2000円程度で買える。データ容量は10〜20GBあれば十分。
ホテルやカフェではWi-Fiが使えることが多いが、速度は遅め。トゥクトゥクの配車アプリ「PickMe」や地図アプリを使うため、モバイルデータは必須だ。
移動手段
トゥクトゥク: 最も手軽な移動手段。必ず乗る前に料金交渉を。相場は1kmあたり50〜100ルピー程度。配車アプリ「PickMe」を使えば料金が明確で便利。
列車: 長距離移動や景色を楽しむなら列車がベスト。1等、2等、3等があり、観光客は2等以上がおすすめ。予約は公式サイトまたは駅窓口で。人気路線は早めの予約が必須。
バス: 最も安い移動手段だが、時刻表が曖昧で混雑する。ローカル体験としては面白い。エアコン付きの高速バスもある。
専用車+ドライバー: 快適に周遊するなら専用車チャーターが便利。1日8000〜15000円程度。複数人でシェアすればコスパが良い。
注意事項
- 服装: 寺院では肩と膝が隠れる服装が必須。靴を脱いで入るため、脱ぎやすい靴がおすすめ。
- 水: 水道水は飲まない。ペットボトルの水を購入すること。氷も避けたほうが無難。
- 食事: ローカル食堂は衛生状態がまちまち。お腹が弱い人は火の通ったものを選ぶ。
- 野生動物: 猿は荷物を奪うことがある。寺院や観光地では注意。象にも近づきすぎない。
- 詐欺: ジェムストーン(宝石)詐欺に注意。「友人の店で特別価格」などの勧誘は断る。
- 宗教: 仏像を背にした写真撮影は禁止。寺院では帽子を取り、敬意を持って行動する。
- 交通: 交通ルールが緩く、運転は荒い。道路横断は慎重に。
まとめ
スリランカは、小さな国土に驚くほど多様な魅力が詰まった国だ。古代遺跡と仏教文化、植民地時代の面影、熱帯のジャングルとビーチ、紅茶畑と高原、そして野生動物の楽園。
シギリヤロックの頂上から朝日を眺め、紅茶畑を抜ける列車でドアから足を出し、ゴールの城壁で波の音を聞き、コロンボの屋台でカレーをかき込む。スリランカは、旅の醍醐味すべてを一度に味わえる場所だ。
直行便で約9.5時間、費用は1週間で10〜15万円あれば十分楽しめる。日本人観光客はまだ少なく、今が訪れるベストタイミングかもしれない。
インド洋の宝石、スリランカ。その輝きを、あなた自身の目で確かめに行こう。


コメント